人事制度は整えたのに、なぜ社員が納得しない?
制度設計と運用の“すれ違い”を読み解く
等級制度、評価制度、賃金制度。人事制度を整備した企業の多くが「これで公平な運用ができるはず」と期待します。
制度設計の段階では、職務や役割に応じた等級、評価基準、賃金テーブルなどが整備され、社内説明資料も用意されている。
しかし、実際には「評価に納得できない」「昇格の基準が不明瞭」「制度が形骸化している」といった声が現場から上がることも少なくありません。
制度そのものは正しく設計されているのに、なぜ社員の不満が生まれるのでしょうか。
この問いは、制度設計と運用の間にある“見えない壁”を浮き彫りにします。
制度が「ある」ことと「使える」ことの間には、想像以上に大きなギャップがあるのです。
制度設計の理想と、現場で起こる“すれ違い”
制度設計の理想は、職務や役割に応じた処遇を明確にし、社員の納得感と企業の公平性を両立させることです。
設計書としては完成度が高く、法令にも準拠している。
しかし、現場での運用においては以下のような“すれ違い”が起こりがちです。
- 評価者によって判断基準がバラバラ
- 制度の説明が不十分で、社員が内容を理解していない
- 評価結果がフィードバックされず、納得感が得られない
- 昇格や昇給のタイミングが不透明で、制度との整合性が取れていない
- 制度はあるのに、誰も使っていない(=制度が“死んでいる”状態)
こうしたズレは、制度設計と運用の間にある構造的な断絶によって生じます。
設計者と運用者、管理職と現場社員、制度文書と実務対応。
それぞれの視点が噛み合っていないまま制度が導入されると、制度は“存在しているだけ”のものになってしまいます。
制度を“生かす”ために必要な視点
制度は「作っただけ」では機能しません。
社員が制度を理解し、納得し、活用できる状態をつくるには、運用面での工夫が欠かせません。
たとえば、以下のような取り組みが考えられます。
- 評価者向けの制度説明や判断基準の共有
評価のばらつきを防ぎ、制度の公平性を担保するための基本。 - 社員への制度説明会や社内FAQの整備
制度の“見える化”を促進し、納得感を高める。 - 評価結果のフィードバックと相談体制の構築
制度が“使われる”ための重要な仕組み。
制度設計はスタート地点であり、制度定着はゴールへの道筋です。
制度の文言だけでなく、運用の仕組み・説明の工夫・現場との対話まで含めて初めて、制度は企業の力になります。
まとめ:制度は“設計”だけでなく“運用”まで見て初めて意味を持つ
人事制度は、設計だけでは完結しません。
制度が現場で正しく使われ、社員が納得できる状態になるまでには、運用支援と社内浸透の仕組みが必要です。
制度が“生きる”ことで、企業は人材の定着・育成・公平な評価という本来の目的を達成することができます。
制度設計は「完成」ではなく「始まり」。
その先にある運用の工夫こそが、企業の人事制度を“本物”にする鍵なのです。
📌 継続支援をご検討の方へ
制度の整備だけでなく、社内への浸透や運用支援まで含めた継続的なサポートをご希望の企業様へ。
当事務所では、貴社の実態に寄り添った労務顧問契約をご案内しております。
