✅ 2024年4月施行:労働条件通知書の記載事項の改正
有期契約者への更新上限・無期転換の明示が義務化/すべての労働者に「変更の範囲」も追加
改正の背景と目的
2024年4月1日、労働基準法施行規則第5条が改正され、労働条件通知書の記載事項が拡充されました。
働き方の多様化(副業・兼業・有期雇用・リモート勤務等)に対応し、労働契約の透明性と予見可能性を高めることが目的です。
改正は、厚生労働省令第39号(令和5年3月30日公布)および雇止め告示の改正に基づいています。
改正された記載事項一覧(対象別・注記付き)
| 明示項目 | 内容 | 対象 | 改正根拠 | 注記 |
|---|---|---|---|---|
| 就業場所の変更範囲 | 将来の配置転換等により変わり得る就業場所の範囲を明示 | すべての労働者 | 労基則第5条第1項 | ※1 |
| 業務内容の変更範囲 | 将来の業務変更可能性の範囲を明示 | すべての労働者 | 労基則第5条第1項 | ※1 |
| 契約更新の有無 | 契約が更新される可能性の有無を明示 | 有期契約労働者 | 労基則第5条第1項 | ー |
| 契約更新の判断基準 | 勤務成績・業務量等の更新判断基準を明示 | 有期契約労働者 | 労基則第5条第1項 | ー |
| 更新上限の有無と内容 | 通算契約期間または更新回数の上限を明示 | 有期契約労働者 | 労基則第5条第1項 | ※2 |
| 無期転換申込機会の明示 | 無期転換ルールの対象である旨と申込機会を明示 | 有期契約労働者 | 労基則第5条第1項 | ※3 |
| 無期転換後の労働条件の明示 | 無期転換後の賃金・業務等の条件を説明 | 有期契約労働者 | 労基則第5条第1項・労契法第18条 | ※3・※4 |
| 更新上限の新設・短縮時の説明 | 更新上限を新たに設ける/短縮する場合の事前説明 | 有期契約労働者 | 雇止め告示 | ※2 |
❓ よくある質問(FAQ)【2024年改正対応】
1. 新たな明示ルールの適用時期・対象者について
ただし、再明示は望ましい取組です。
※有期契約労働者は、令和6年4月1日以降の契約更新時に新ルールでの明示が必要です。
ただし、令和6年3月以前から新ルールに基づいて明示することは望ましい対応です。2. 「変更の範囲」の明示について
更新後の契約期間における変更範囲は、明示義務ではありませんが、キャリアパスの観点から積極的明示は有益です。3. 更新上限の明示について
例:「通算5回まで。現在3回目」など。
※労働者の納得までは求められていません。
最終的には合意の有無等を踏まえ司法判断となります。4. 無期転換申込機会の明示について
ただし、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」は、パートタイム・有期雇用労働法に基づく書面明示事項であり、有期契約時点で書面明示されている前提で「変更なし」と明示することが可能です。
書面・口頭の両方の明示事項すべてに変更がない場合に限り、「変更なし」の一括明示が許容されます。
就業規則や個別契約による「別段の定め」がある場合でも、変更が真の合意に基づくかどうかは最終的に司法判断となります。5. 就業規則の周知について
労基法106条・労基則52条の2により、労働者が容易に確認できる状態にすることが義務です。
注記一覧(※1〜※4)
- ※1:「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。
- ※2:雇止め告示の改正により、更新上限の新設・短縮時には契約締結前の説明が必要です。
- ※3:無期転換申込権が発生した後の契約更新時には、申込機会と転換後条件を毎回明示する義務があります。
- ※4:原則として、有期労働契約の労働条件として書面で明示している事項に関して、無期転換後も当該条件と変更がない旨を明示したものとされます。
「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」は、パートタイム・有期雇用労働法に基づく書面明示事項であるため、有期契約時点で書面明示されている前提で「変更なし」と明示することが可能です。
✅ まとめ
2024年4月の改正により、労働条件通知書の記載事項は「すべての労働者向け」と「有期契約者限定」で明示義務が強化されました。
特に有期契約者には、更新上限・無期転換・均衡説明など、契約更新のたびに明示すべき項目が増加しています。
人事・労務担当者は、雇用形態別の様式整備と運用ルールの見直しを早急に進める必要があります。
