第7回:外国人社員が“誤解したまま動く”ときに起きていること
外国人社員が「誤解したまま動いてしまう」場面は、現場で非常に多く見られます。
しかしこれは、本人の理解力や日本語力の問題ではありません。
背景には、
“誤解が生まれる構造”が存在します。
今回は、外国人社員が誤解したまま行動してしまうときに、
実際に起きているプロセス(流れ)を整理します。
プロセス①:情報の「前提」が共有されていない
誤解の出発点は、
前提条件が共有されていないことです。
例:
- 「今日は早く帰っていいよ」→ “なぜ早く帰るのか”の前提がない
- 「この作業は急ぎ」→ どれくらい急ぎなのか分からない
前提が共有されていないと、
本人の中で“別の前提”が補完されるため、誤解が生まれます。
プロセス②:言葉を“文字通り”に受け取る
外国人社員は、文化的背景が異なるため、
言葉を文字通りに受け取る傾向があります。
例:
- 「できるときでいいよ」→ 本当にいつでも良いと思う
- 「少し抜けてもいいよ」→ どこまでOKか分からない
日本人が“行間”で理解する部分が補完されないため、
意図と違う行動につながります。
プロセス③:理解が曖昧でも「聞き返せない」
第3回で解説したように、外国人社員には:
- 失礼だと思ってしまう
- 迷惑をかけたくない
- 評価が下がるのが怖い
という心理的ハードルがあり、
理解が曖昧でも聞き返せません。
そのため、
“分かったつもり”の状態で行動が始まるのです。
プロセス④:自分の国の常識で補完してしまう
理解が曖昧なまま行動するとき、
外国人社員は自国の常識で判断します。
例:
- 「急ぎ」=「残業してでも終わらせる」
- 「自由にしていい」=「完全に自由」
- 「少し」=「自国の感覚での少し」
この“文化的補完”が、
誤解をさらに大きくする要因になります。
プロセス⑤:誤解したまま行動し、ズレが固定化する
誤解したまま行動すると、次のような流れが起きます:
- 意図と違う行動をする
- 注意されるが理由が分からない
- 「自分はできていない」と思い込む
- さらに聞き返せなくなる
この流れが続くと、
誤解 → 行動 → 注意 → 不安 → 相談遅延
という悪循環が生まれます。
まとめ:誤解は“構造的に”生まれる
外国人社員が誤解したまま動くのは、
本人の問題ではなく、情報構造の問題です。
特に以下のプロセスが重なると誤解が固定化します:
- 前提が共有されていない
- 言葉を文字通りに受け取る
- 聞き返せない心理的ハードル
- 自国の常識で補完する
- 誤解したまま行動し、ズレが固定化する
次回は、
外国人社員の“相談遅延”が起きる構造
について整理します。
■ 次回予告
第8回は、
「外国人社員の“相談遅延”が起きる構造」
相談が遅れる理由と、その背景にある心理・情報構造を整理します。
