社会保険労務士コラム

第7回:外国人社員が“誤解したまま動く”ときに起きていること

  • 2026.4.14

第7回:外国人社員が“誤解したまま動く”ときに起きていること

外国人社員が「誤解したまま動いてしまう」場面は、現場で非常に多く見られます。
しかしこれは、本人の理解力や日本語力の問題ではありません。

背景には、
“誤解が生まれる構造”が存在します。

今回は、外国人社員が誤解したまま行動してしまうときに、
実際に起きているプロセス(流れ)を整理します。

プロセス①:情報の「前提」が共有されていない

誤解の出発点は、
前提条件が共有されていないことです。

例:

  • 「今日は早く帰っていいよ」→ “なぜ早く帰るのか”の前提がない
  • 「この作業は急ぎ」→ どれくらい急ぎなのか分からない

前提が共有されていないと、
本人の中で“別の前提”が補完されるため、誤解が生まれます。

プロセス②:言葉を“文字通り”に受け取る

外国人社員は、文化的背景が異なるため、
言葉を文字通りに受け取る傾向があります。

例:

  • 「できるときでいいよ」→ 本当にいつでも良いと思う
  • 「少し抜けてもいいよ」→ どこまでOKか分からない

日本人が“行間”で理解する部分が補完されないため、
意図と違う行動につながります。

プロセス③:理解が曖昧でも「聞き返せない」

第3回で解説したように、外国人社員には:

  • 失礼だと思ってしまう
  • 迷惑をかけたくない
  • 評価が下がるのが怖い

という心理的ハードルがあり、
理解が曖昧でも聞き返せません。

そのため、
“分かったつもり”の状態で行動が始まるのです。

プロセス④:自分の国の常識で補完してしまう

理解が曖昧なまま行動するとき、
外国人社員は自国の常識で判断します。

例:

  • 「急ぎ」=「残業してでも終わらせる」
  • 「自由にしていい」=「完全に自由」
  • 「少し」=「自国の感覚での少し」

この“文化的補完”が、
誤解をさらに大きくする要因になります。

プロセス⑤:誤解したまま行動し、ズレが固定化する

誤解したまま行動すると、次のような流れが起きます:

  • 意図と違う行動をする
  • 注意されるが理由が分からない
  • 「自分はできていない」と思い込む
  • さらに聞き返せなくなる

この流れが続くと、
誤解 → 行動 → 注意 → 不安 → 相談遅延
という悪循環が生まれます。

まとめ:誤解は“構造的に”生まれる

外国人社員が誤解したまま動くのは、
本人の問題ではなく、情報構造の問題です。

特に以下のプロセスが重なると誤解が固定化します:

  • 前提が共有されていない
  • 言葉を文字通りに受け取る
  • 聞き返せない心理的ハードル
  • 自国の常識で補完する
  • 誤解したまま行動し、ズレが固定化する

次回は、
外国人社員の“相談遅延”が起きる構造
について整理します。

■ 次回予告

第8回は、
「外国人社員の“相談遅延”が起きる構造」
相談が遅れる理由と、その背景にある心理・情報構造を整理します。

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