社会保険労務士コラム

第6回:特定技能の外国人が“本音を言わない”理由と、相談が遅れる構造

  • 2026.4.3

第6回:特定技能の外国人が“本音を言わない”理由と、相談が遅れる構造

特定技能の外国人と接している企業から、次のような声をよく聞きます。

  • 問題が起きていたのに、なぜか相談してくれない
  • 退職の意思を固めてから初めて話してくる
  • 生活トラブルを隠してしまい、気づいた時には深刻化している

実は、特定技能の外国人が“本音を言わない”のは、
個人の性格でも文化でもなく、相談が遅れる“構造”があるため
です。

本記事では、その構造と、企業が気づきにくい「相談遅延の仕組み」を解説します。

理由①:「迷惑をかけたくない」という強い心理が働く

特定技能の外国人は、日本人以上に
「迷惑をかけたくない」
という心理が強く働きます。

よくある心理背景

  • 雇ってもらった会社に恩義を感じている
  • 問題を言うと「評価が下がる」と思っている
  • 相談=弱みを見せることだと感じている

そのため、問題があっても
ギリギリまで言わない
という行動につながります。

理由②:日本語で“悩みや不安”を説明するのが難しい

特定技能の外国人は、日常会話はできても、
感情・悩み・不安を日本語で説明するのは難しい
というケースが多いです。

よくある状況

  • 「つらい」「不安」などの感情語が出てこない
  • 説明がうまくできず、誤解されるのを恐れる
  • 相談する前に諦めてしまう

その結果、相談が
遅れる・伝わらない・言えない
という状況が生まれます。

理由③:相談内容が“属人化”し、誰に言えばいいか分からない構造

特定技能の外国人は、相談したい内容によって
「誰に言えばいいのか分からない」
という状況に陥りやすいです。

よくある構造的な行き詰まり

  • 生活の悩み → 上司には言いづらい
  • 労務の悩み → 現場では扱えない
  • 在留の不安 → 企業側に専門知識がない

相談内容が複数の領域にまたがるため、
「誰に相談すればいいか分からない」
状態になり、結果として相談が遅れます。

理由④:相談相手が“社内にいない”と感じている

特定技能の外国人は、次のような理由で社内に相談しにくさを感じています。

  • 上司は忙しく、話しかけるタイミングがない
  • 人事とは距離がある
  • 現場の同僚には言いづらい内容が多い

その結果、相談相手がいないまま問題が進行し、
深刻化してから表面化する
というケースが非常に多いのです。

理由⑤:相談が遅れると“複合問題”になり、企業が対応しにくくなる

相談が遅れると、問題は単独ではなく
複合化
します。

よくある複合化の例

  • 生活トラブル → メンタル不調 → 出勤不良
  • 金銭問題 → 夜勤で集中できない → ミス増加
  • 人間関係の悩み → 相談遅延 → 離職

複合化すると、企業は
「どこから手をつければいいか分からない」
状態になります。

まとめ:相談が遅れるのは“個人の問題”ではなく“構造の問題”

特定技能の外国人が本音を言わないのは、
性格や文化ではなく、相談できない構造があるため
です。

  • 迷惑をかけたくない心理
  • 日本語で感情を説明する難しさ
  • 相談内容が属人化し、誰に言えばいいか分からない
  • 社内に相談相手がいないと感じている
  • 相談が遅れると複合問題になり、企業が対応しにくくなる

この構造を理解すると、
「外部の相談窓口が必要だ」
という結論に自然と行き着きます。

■ 外部の専門家としての“外国人相談窓口”という選択肢

当事務所では、在留・労務・業務内容に関する相談を一次で受け止め、
事実整理と方向性の提示に特化した、外部の専門家としての“外国人相談窓口”
を提供しています。

当事務所の役割は、あくまで
「最初の一歩を整えること」
です。

  • 判断はしない(結論づけは企業側)
  • 個人的な悩みや背景は企業に共有しない
  • 企業対応に必要な事実だけを整理して渡す

こうした中立的な外部窓口があることで、
現場は「気になる違和感」を早い段階で共有でき、
問題の早期発見と適切な対応につながります。

■ 次回予告

第7回は、
「特定技能の生活トラブルが企業に与える影響と早期発見の重要性」
生活・金銭・住居問題が、なぜ企業リスクになるのかを解説します。


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