第4回:外国人社員のハラスメント相談の扱い方(企業がやりがちなNG対応)
外国人社員からのハラスメント相談は、
日本人社員とは受け取り方・感じ方が大きく異なるため、企業側が戸惑いやすい領域です。
「そんなつもりで言ったわけではない」
「日本では普通の指導だ」
と企業側が思っていても、外国人社員には
“攻撃された”と感じられるケースがあります。
本記事では、外国人社員のハラスメント相談が起きやすい背景と、企業側の適切な初動対応を整理します。
理由①:外国人社員は“強い言い方”をハラスメントと感じやすい
外国人社員は、上司からの指導や注意を
「怒られた」「嫌われている」
と受け取る傾向があります。
背景にある要因
- 母国では上司が強く叱る文化がない
- 語学力の問題で“強い言葉”に聞こえる
- 表情・声のトーンの違いを読み取れない
そのため、日本人にとっては普通の指導でも、
外国人社員にはハラスメントに感じられることがあります。
理由②:注意の理由が伝わらず“人格否定”と誤解される
外国人社員は、
「なぜ注意されたのか」が分からないと、人格を否定されたと感じやすい傾向があります。
よくある誤解
- 行動への指摘 → 人格への攻撃と受け取る
- 業務改善の指導 → 嫌われていると感じる
- 短い言葉での注意 → 怒られていると感じる
理由を丁寧に説明するだけで、
誤解が解消されるケースは非常に多いです。
理由③:相談が“遅れて出てくる”ため、企業が後手に回る
外国人社員は、ハラスメントを受けても
すぐには相談しません。
相談が遅れる理由
- 誰に相談すればいいか分からない
- 相談しても変わらないと思っている
- 日本語で説明できる自信がない
その結果、企業が気づくのは
「退職希望」「欠勤増加」「メンタル不調」など“結果”だけです。
理由④:企業がやりがちな“NG対応”が事態を悪化させる
外国人社員のハラスメント相談で、企業がやりがちなNG対応があります。
NG対応の例
- 「それはハラスメントではない」と即否定する
- 相談内容を本人の語学力の問題にすり替える
- 相談したことを上司にそのまま伝えてしまう
これらは、
外国人社員の不信感を強め、相談が完全に止まる原因になります。
理由⑤:初動対応の“順番”を間違えるとトラブルが拡大する
ハラスメント相談は、
初動対応の順番が非常に重要です。
適切な初動対応の流れ
- ① まず事実を丁寧に聞く(否定しない)
- ② 感情と事実を分けて整理する
- ③ 本人の希望を確認する
- ④ 必要に応じて第三者が介入する
この流れを踏むだけで、
誤解によるトラブルの多くは沈静化します。
まとめ:外国人社員のハラスメント相談は“受け取り方の違い”が背景にある
外国人社員のハラスメント相談は、次の要因が重なって発生します。
- 強い言い方をハラスメントと感じやすい
- 注意の理由が伝わらず誤解が生まれる
- 相談が遅れて出てくる
- 企業のNG対応が不信感を生む
- 初動対応の順番を間違えると悪化する
これらは、
相談の入口を整えることで改善できる領域です。
■ 外部の専門家としての“外国人相談窓口”という選択肢
当事務所では、在留・労務・生活に関する相談を一次で受け止め、
事実整理と方向性の提示に特化した、外部の専門家としての“外国人相談窓口”
を提供しています。
当事務所の役割は、あくまで
「最初の一歩を整えること」です。
- 判断はしない(結論づけは企業側)
- 個人的な悩みや背景は企業に共有しない
- 企業対応に必要な事実だけを整理して渡す
こうした中立的な外部窓口があることで、
相談の早期発見と適切な対応が可能になります。
■ 次回予告
第5回は、
「外国人社員が“突然辞める”ように見える理由」
退職の前兆と“沈黙期間”の特徴を整理します。

