社会保険労務士コラム

第3回:外国人社員の勤怠・残業トラブルが増える理由

  • 2026.4.9

第3回:外国人社員の勤怠・残業トラブルが増える理由

外国人社員との間で、勤怠や残業に関するトラブルが発生するケースは少なくありません。
特に特定技能・技人国などの在留資格で働く外国人の場合、
「ルールの理解不足」と「説明の不足」が重なりやすい領域です。

本記事では、勤怠・残業トラブルが起きやすい背景と、企業側が見直すべきポイントを整理します。

理由①:勤怠ルールが“日本独自”で分かりにくい

日本の勤怠管理は、外国人社員にとって非常に複雑です。
特に以下の点は誤解が起きやすい代表例です。

誤解が起きやすい勤怠ルール

  • 遅刻・早退の扱い(控除の仕組み)
  • 有給休暇の取得ルール
  • 欠勤と無断欠勤の違い
  • シフト変更の手続き

これらは日本人でも理解が難しい部分であり、
説明不足のまま運用するとトラブルの原因になります。

理由②:残業のルールが“曖昧なまま”伝わっている

残業に関するトラブルは、外国人社員の相談でも特に多い領域です。

よくある誤解

  • 「残業は断ってはいけない」と思っている
  • 残業代の計算方法を理解していない
  • 固定残業代の仕組みを誤解している
  • サービス残業が“普通”だと思ってしまう

これらは、
企業側の説明不足が原因で起きるケースが多いです。

理由③:勤怠の“記録方法”が理解されていない

勤怠トラブルの背景には、
「勤怠のつけ方が分からない」という単純な問題が隠れていることがあります。

よくあるケース

  • 打刻漏れが多い
  • 休憩時間の扱いを誤解している
  • シフト変更を口頭で済ませてしまう

勤怠の記録方法は、
「見れば分かる」ではなく「教えないと分からない」領域です。

理由④:相談しづらい環境が“勤怠の乱れ”を悪化させる

勤怠トラブルの多くは、
「相談しづらい環境」が背景にあります。

相談しづらいと起きること

  • 遅刻・欠勤の理由を言えず、無断欠勤扱いになる
  • 残業の断り方が分からず、ストレスが蓄積する
  • 勤怠のミスを隠してしまう

相談が遅れることで、
勤怠の乱れ → 不満 → 離職
という悪循環が起きます。

理由⑤:勤怠・残業の説明が“属人化”している

外国人社員への勤怠説明が、
「話しやすい人」だけに集中する構造が生まれると、トラブルが増えます。

属人化が生む問題

  • 担当者によって説明内容が違う
  • 情報が共有されず、判断がバラつく
  • 担当者が疲弊し、対応が遅れる

属人化は、
企業の仕組みとしての限界を示すサインです。

まとめ:勤怠・残業トラブルは“説明不足と相談の遅れ”で起きる

外国人社員の勤怠・残業トラブルは、次の要因が重なって発生します。

  • 勤怠ルールが複雑で分かりにくい
  • 残業ルールが曖昧なまま伝わっている
  • 勤怠の記録方法が理解されていない
  • 相談しづらい環境がある
  • 説明が属人化している

これらは、
相談の入口を整えることで改善できる領域です。

■ 外部の専門家としての“外国人相談窓口”という選択肢

当事務所では、在留・労務・生活に関する相談を一次で受け止め、
事実整理と方向性の提示に特化した、外部の専門家としての“外国人相談窓口”
を提供しています。

当事務所の役割は、あくまで
「最初の一歩を整えること」です。

  • 判断はしない(結論づけは企業側)
  • 個人的な悩みや背景は企業に共有しない
  • 企業対応に必要な事実だけを整理して渡す

こうした中立的な外部窓口があることで、
相談の早期発見と適切な対応が可能になります。

■ 次回予告

第4回は、
「外国人社員のハラスメント相談の扱い方」
外国人特有の“受け取り方の違い”と初動対応を整理します。


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