社会保険労務士コラム

第3回:外国人社員が“聞き返せない”心理的ハードルとは

  • 2026.4.14

第3回:外国人社員が“聞き返せない”心理的ハードルとは

外国人社員に指示が伝わらない場面では、
「聞き返せば解決するのに、聞き返さない」
という状況がよく起きます。

しかしこれは、性格の問題ではありません。
背景には、心理的・構造的なハードルが存在します。

今回は、外国人社員が“聞き返せない”理由を整理します。

理由①:聞き返すことが「失礼」だと思っている

多くの外国人社員は、
聞き返す=相手の説明を否定する行為
と捉えてしまいます。

特に日本の上下関係や職場文化を尊重する傾向が強い国では、
「上司に聞き返すのは失礼」という価値観が根強くあります。

そのため、理解が不十分でも聞き返さず、
“分かったふり”をしてしまうのです。

理由②:「迷惑をかけたくない」という遠慮

外国人社員は、職場で迷惑をかけないようにと強く意識しています。

そのため、次のように考えてしまいます:

  • 忙しそうだから聞き返すのは悪い
  • 何度も聞くと嫌われるかもしれない
  • 自分の日本語が悪いと思われたくない

結果として、
理解が曖昧なまま作業を進めてしまうことになります。

理由③:聞き返しても“同じ説明”が返ってくる経験

現場では、聞き返しても:

  • 同じ言葉を繰り返される
  • さらに早口になる
  • 説明が短くなる

というケースが多くあります。

その結果、外国人社員は:

「聞き返しても理解できない」
「聞き返すと逆に怒られる」

と感じ、聞き返すこと自体を避けるようになります。

理由④:理解していないことを“知られたくない”

外国人社員は、職場での評価を非常に気にします。

そのため、次のような心理が働きます:

  • できないと思われたくない
  • 日本語が下手だと思われたくない
  • 採用を後悔されたくない

この心理が強いほど、
理解していないことを隠す行動につながります。

理由⑤:聞き返すための“言語の型”を持っていない

聞き返すには、実は「型」が必要です。

しかし外国人社員は、次のような表現を知らないことが多い:

  • 「もう一度お願いします」
  • 「この部分を詳しく教えてください」
  • 「こういう意味で合っていますか?」

型がないと、聞き返すこと自体が難しくなります。

まとめ:聞き返せないのは“心理的ハードル”が原因

外国人社員が聞き返せないのは、
性格の問題ではなく、心理的・構造的なハードルが原因です。

特に以下の5つが大きな要因です:

  • 聞き返すことが失礼だと思っている
  • 迷惑をかけたくないという遠慮
  • 聞き返しても理解できなかった経験
  • 理解していないことを知られたくない心理
  • 聞き返すための言語の型がない

次回は、
ルール説明が機能しないのは“情報構造”が原因
というテーマで、情報ギャップの構造をさらに深掘りします。

■ 次回予告

第4回は、
「ルール説明が機能しないのは“情報構造”が原因」
伝わらない構造を、具体例とともに整理します。

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