社会保険労務士コラム

第2回:指示が伝わらない企業に共通する“情報の欠落ポイント”

  • 2026.4.14

第2回:指示が伝わらない企業に共通する“情報の欠落ポイント”

外国人社員に指示が伝わらない背景には、
企業側の説明に共通して抜け落ちやすい情報があります。

これは日本語力の問題ではなく、
「情報の構造」そのものが共有されていないことが原因です。

今回は、現場で特に多い“情報の欠落ポイント”を整理します。

欠落ポイント①:目的(Why)が伝わっていない

日本人同士では「目的」は暗黙の了解として共有されることが多く、
説明の中で省略されがちです。

しかし外国人社員にとっては、
目的が分からないと判断基準が持てないため、誤解が生まれます。

例:

  • 「今日は早めに片付けて」→ なぜ早めなのかが分からない
  • 「この順番でやって」→ その順番である理由が分からない

目的が共有されていないと、
“言われた通りにやったのに違うと言われる”状況が起きます。

欠落ポイント②:前提条件(Background)が共有されていない

日本の職場では、前提条件が共有されていることを前提に話が進みます。

しかし外国人社員は、
その前提となる知識・経験・背景を持っていないことが多い。

例:

  • 「このお客様は急ぎだから」→ なぜ急ぎなのか、背景が分からない
  • 「この作業は危ないから気をつけて」→ 何が危険なのかが分からない

前提が共有されていないと、
指示の意味が“部分的にしか理解されない”状態になります。

欠落ポイント③:優先順位(Priority)が伝わっていない

外国人社員が最も困るのが、
「どれを先にやるべきか分からない」という状況です。

日本人同士では、状況や空気感で優先順位が補完されますが、
外国人社員にはそれがありません。

例:

  • 「これとこれ、お願い」→ どちらを先に?
  • 「できるときでいいよ」→ どの程度の緊急度?

優先順位が曖昧だと、
“間違った順番でやって怒られる”という誤解が生まれます。

欠落ポイント④:例外ルール(Exception)が説明されていない

日本の職場には、明文化されていない“例外ルール”が多く存在します。

しかし外国人社員は、
例外を知らないまま“通常ルール”で判断してしまうため、トラブルが起きます。

例:

  • 「普段はこうだけど、今日は違う」
  • 「このお客様だけは特別対応」

例外ルールが共有されていないと、
“正しくやったのに間違い扱いされる”という不満につながります。

欠落ポイント⑤:背景の意味(Context)が抜けている

指示の背景にある「意味」が共有されていないと、
外国人社員は“表面的な行動”だけを理解します。

その結果、
状況が変わると応用が効かないという問題が起きます。

例:

  • 「この順番でやって」→ なぜその順番なのかが分からない
  • 「この書類は丁寧に扱って」→ 何が重要なのかが分からない

まとめ:欠落しているのは“言葉”ではなく“情報の構造”

外国人社員に指示が伝わらない原因は、
言葉の問題ではなく、情報の欠落による“構造のズレ”にあります。

特に抜け落ちやすい情報は以下の5つ:

  • 目的(Why)
  • 前提条件(Background)
  • 優先順位(Priority)
  • 例外ルール(Exception)
  • 背景の意味(Context)

次回は、
外国人社員が“聞き返せない”心理的ハードル
について整理します。

■ 次回予告

第3回は、
「外国人社員が“聞き返せない”心理的ハードルとは」
誤解が固定化する背景を、構造的に整理します。

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