社会保険労務士コラム

第1回:特定技能の内製化で“相談が増える”本当の理由とは

  • 2026.4.3

第1回:特定技能の内製化で“相談が増える”本当の理由とは

特定技能の受け入れを内製化した企業から、次のような声をよく聞きます。

  • 支援業務を自社で行うようにしたら、相談が一気に増えた
  • 現場が外国人対応で疲弊している
  • 支援10項目より「相談対応」のほうが大変

実はこれ、偶然ではありません。
特定技能の内製化には、相談が増える“構造的な理由”が存在します。

本記事では、その理由を分かりやすく解説します。

理由①:支援業務の“受け皿”が社内に移るから

特定技能の支援業務を内製化すると、外国人からの相談はすべて
社内に直接届く ようになります。

登録支援機関に委託していたときは、生活相談や在留資格の不安などは外部で吸収されていました。
しかし内製化すると、これらの相談がすべて社内に流れ込みます。

その結果、

  • 現場が抱え込む
  • 人事がパンクする
  • 管理職が対応に追われる

理由②:特定技能は“相談が多い属性”を持っている

特定技能の外国人は、技能実習とは異なり
生活・労務・在留が複雑に絡む
ため、相談内容が多岐にわたります。

よくある相談例

  • 在留期間更新の不安
  • シフト・残業の理解不足
  • 生活トラブル(住居・金銭・人間関係)
  • 現場とのコミュニケーションギャップ
  • メンタル不調
  • 将来のキャリア不安

これらは1つの部署では処理しきれないため、
企業側の負担が急増します。

理由③:相談内容が“在留 × 労務 × 生活”の3領域にまたがる

特定技能の相談は、日本人社員とは異なり
複数領域が同時に絡む ことが多いです。

例:
「残業が多くてつらい」
→ 労務問題
→ 生活リズムの問題
→ 在留資格の更新に影響する可能性も

このように、1つの相談が3つの問題を含んでいるため、

  • どの部署が対応すべきか分からない
  • 対応が後手に回る
  • 問題が長期化する

理由④:外国人は“本音を言いにくい”ため相談が遅れる

特定技能の外国人は、日本人以上に
「迷惑をかけたくない」
と考える傾向があります。

そのため、

  • 問題をギリギリまで言わない
  • 相談が遅れて深刻化する
  • いきなり退職の意思を示す

これは企業が最も気づきにくいリスクの一つです。

まとめ:内製化すると相談が増えるのは“当然の結果”

特定技能の内製化で相談が増えるのは、企業の対応が悪いからではありません。
構造的に相談が増える仕組みになっているからです。

  • 支援業務の受け皿が社内に移る
  • 特定技能は相談が多い属性
  • 相談内容が複雑で多領域
  • 本音を言いにくく相談が遅れる

これらが重なることで、内製化企業は必ず相談対応に追われるようになります。

■ 外部の専門家としての“外国人相談窓口”という選択肢

当事務所では、在留・労務・業務内容に関する相談を一次で受け止め、
事実整理と方向性の提示に特化した、外部の専門家としての“外国人相談窓口”
を提供しています。

当事務所の役割は、あくまで
「最初の一歩を整えること」
です。

  • 判断はしない(結論づけは企業側)
  • 個人的な悩みや背景は企業に共有しない
  • 企業対応に必要な事実だけを整理して渡す

こうした中立的な外部窓口があることで、
現場は「気になる違和感」を早い段階で共有でき、
問題の早期発見と適切な対応につながります。

■ 次回予告

第2回では、
「特定技能の支援業務が想像以上に大変になる3つの構造」
について解説します。


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■ 関連まとめ

外国人社員の相談が増える・出てこない背景が、
結果として“定着や離職”にどう影響するのかを整理した

「外国人定着支援シリーズ(全18回まとめ)」

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