社会保険労務士コラム

自社支援(内製化)による特定技能外国人の受入れ制度概要

  • 2025.11.14

自社支援(内製化)による特定技能外国人の受入れ制度概要

令和5年9月30日改訂「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」準拠

1 はじめに

在留資格「特定技能」は、一定の技能水準と日本語能力を有する外国人を対象に、国内の深刻な人手不足分野において就労を認める制度です。対象分野は以下の16分野に限定されています:

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業

※2025年現在の特定技能の対象分野

これらの分野において外国人を受け入れる所属機関は、原則として登録支援機関に支援業務を委託する必要がありますが、一定の制度的要件を満たす場合には、所属機関自らが支援業務を実施する「自社支援(内製化)」が認められます。

2 自社支援の制度要件

所属機関が登録支援機関に委託せず、自ら支援業務を行うためには、以下の7項目すべてを満たす必要があります。

① 中長期在留者の受入れ実績等に関するもの

以下のいずれかに該当する必要があります:

  • イ:過去2年間に、収入を伴う在留資格をもつ中長期在留者の受入れ・管理実績があり、支援責任者・支援担当者を選任している
  • ロ:過去2年間に、生活相談業務に従事した経験を有する者を支援責任者・支援担当者に選任している
  • ハ:イ・ロに準じて、同程度に支援業務を適正に実施できる者として認められた者(個別判断)

※一人親方や代表者のみの雇用実績では不可。技能実習制度における改善命令・勧告履歴がある場合も不適格。

② 十分に理解できる言語による支援体制に関するもの

外国人が支援内容を余すことなく理解できる言語で支援できる体制が必要です。母国語に限らず、本人が理解できる言語であれば可。通訳人は常勤不要で、委託・非常勤でも構いません。

③ 支援の実施状況に係る文書の作成等に関するもの

以下の管理簿を整備し、電磁的記録による保存も可能です:

管理簿名 主な記載内容
支援実施体制に関する管理簿 事務所情報、職員数、支援実績、支援責任者・担当者の履歴、対応言語・通訳体制など
支援の委託契約に関する管理簿 委託契約書(様式第5-10号)、支援経費の収支など
支援対象者に関する管理簿 外国人の氏名・在留カード番号・支援計画・支援期間など
支援の実施に関する管理簿 事前ガイダンス、空港送迎、住居確保・生活契約、生活オリエンテーション、日本語習得支援、相談対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談(様式第5-4号、第5-5号等)

※電磁的記録による保存は可能ですが、即時出力・整然表示・明瞭性の確保が必要です。

④ 支援の中立性に関するもの

支援者は外国人に対する指揮命令権を持たない者である必要があります。形式上部署が異なっていても、実質的に指揮命令できる者(代表取締役、部長等)は不可。組織図上の縦のラインにある者は不適格です。

⑤ 支援実施義務の不履行に関するもの

過去5年以内に、支援計画に基づく支援を怠った事例がないこと。違反履歴がある場合は自社支援不可となります。

⑥ 定期的な面談の実施に関するもの

3か月に1回以上の頻度で、外国人と監督者との面談を実施する体制が必要です。派遣形態では派遣先の監督者との面談が必要。アンケート等による事前準備も可能です。

⑦ 分野に特有の事情にかんがみて定められた基準に関するもの

介護・外食・建設など、分野別運用方針に定められた追加支援基準(例:訪問支援、同行支援等)を遵守する必要があります。

支援責任者・支援担当者の定義

区分 定義・要件
支援責任者 所属機関の役員または職員(常勤でなくても可)。支援業務全体を統括管理する立場。
支援担当者 所属機関の役員または職員(常勤が望ましい)。支援計画に沿って支援を実施する任務。
兼任 支援責任者が支援担当者を兼任することは可能。ただし、双方の基準を満たすことが条件。

3 内製化の条件と企業が整えるべき体制

  • 支援計画の作成・届出
  • 生活支援・相談体制の整備
  • 面談記録・届出書類の管理
  • 日本語教育・地域連携の仕組み

4 内製化企業に求められる視点

  • 制度理解と社内制度の接続
    支援計画と就業規則・人事制度・労務管理との整合性を確保すること
  • 外部専門家との連携
    行政書士・社労士等と連携し、申請・届出・記録整備・制度改訂への対応を補完
  • 継続的な制度更新への対応
    運用要領・分野別方針の改訂に即応できる体制を構築し、支援の質を維持

5 まとめ

自社支援は、制度的な要件を満たすだけでなく、企業としての支援体制・記録管理・中立性・地域連携まで含めた総合的な運用力が問われます。
制度文言に忠実な運用と、実務的な体制整備を両立させることで、外国人との信頼関係を築き、持続可能な雇用環境を実現することが可能です。

特に自社支援を選択する場合は、支援の質が企業の評判や定着率に直結するため、制度理解・記録管理・支援体制の三位一体での運用が求められます。
今後の制度改正や分野別要件の追加にも対応できるよう、支援責任者・担当者の育成、外部専門家との連携、社内制度との接続を意識した体制構築が重要です。



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