日本人同士が結婚する場合は、民法で「男性は18歳以上、女性は16歳以上の年齢にならないと結婚できない」などの規定がありますね。日本人と外国人が結婚した場合は、日本の法律と外国の法律が関係してくるのでちょっと複雑になります。
通常、法律は国内で使われることを予定しているので、それぞれの国でその法律の内容は当然異なります。つまり、結婚できる条件もそれぞれの国で異なってくるんですね。なので、まずはカップルが結婚しようとする場合は、お互いの国の法律で結婚できる条件を確認する必要があります。
お互いの国の法律の確認ができたら、さぁ結婚!!
…その前にもう一つ確認することがあるんですね。
それぞれの国の法律の内容は違うので、その法律を調整する必要がありますね。
そのため日本には、「法の適用に関する通則法」という法律があります。
- 婚姻の成立は、各当事者につき、本国法に従う
- 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法律に従う
- 上記の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本で婚姻挙行をした場合で、当事者の一方が日本人のときは、日本の法律に従う
この規定がお互いの国の法律を調整するルールなので、これを前提として、お互いの国の法律を確認することが必要です。その中で、「結婚できる条件」、「結婚が成立する条件」を満たす必要があります。
婚姻の成立は各当事者の本国法に従います。
日本での婚姻の成立の条件を確認してみましょう。
- 男性は満18歳、女性は満16歳であること
- すでに配偶者がいる人とは、重婚できない
- 女性は、前婚の解消又は取り消しから6ヶ月経過しないと再婚できない。
ただし、前婚の解消又は取り消し前から懐胎していた場合、出産の日以降は再婚可能 - 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻できない
- 直系姻族間の婚姻はできない
- 養親子間の婚姻はできない
- 未成年者は父母の同意が必要
更に、これらの他に、一方的要件と双方的要件という制約もあります。
一方的要件 | 当事者の一人が自国のものだけを満たせば良い要件 結婚の意思・婚姻年齢・父母の同意・精神障害など |
双方的要件 | 当事者双方が満たさないといけない要件 近親婚・重婚・再婚禁止期間・相姦関係・人種や宗教など |
さらに、婚姻の方式にも決まりがありました。
当事者の一人が日本人で、日本で婚姻する場合について説明します。
日本で婚姻する場合は、「婚姻届」を役所に提出することにより婚姻が成立します。この際に考えるべきことは、日本への届出と相手国への届出が必要になるということです。
そうすると、次の2つのパターンが考えられます。
- 日本へ最初に届け出る場合
- 相手国へ最初に届け出る場合
1.の場合、外国人はパスポートや婚姻要件具備証明書などを準備して、日本の役所へ「婚姻届」を提出します。その後、日本で相手国の大使館や領事館への届出をすることになります。
2.の場合、日本で相手国の大使館や領事館への書類の提出後、「婚姻証明書」を発行してもらいます。その後、日本の役所へ「婚姻届」を届出をすることになります。この②のパターンは、国によって取り扱いがことなることもあるので、確認が必要です。
これらの手続きを経て、ようやく結婚が有効に成立します。
「2.相手国へ最初に届け出る場合」の注意点を最後に付け加えておきます。
相手国からの「婚姻証明書」を発行してもらった後に、日本の役所へ婚姻届を提出することになりますが、この場合の必要書類としては原則として下記のとおりです。
- 婚姻届
- 婚姻証明書
- 婚姻証明書和訳文
- 外国人配偶者の国籍証明書又はパスポート及びパスポート和訳文
これらが原則的な必要書類ですが、役所によって対応が異なることがあるため、事前に確認が必要です。
役所に必要書類を確認した場合に、「国籍証明書は不要です」と言われることがあります。これは、通常は「婚姻証明書」に外国人配偶者の国籍の記載があるため、「婚姻証明書」を国籍証明書として代用するという取扱いのようです。
しかし、全ての「婚姻証明書」に外国人配偶者の国籍が記載されているわけではないので要注意です。仮に、役所の方に大丈夫だと言われて必要書類を揃えたとしても、結果として書類が不足していれば婚姻届の受理をしてもらえないのが現状です。
自分で確認できるところは、きっちり確認するということが重要です。