外国人の方を正社員として雇用したい企業様から、「外国人は自動車整備士として働けますか?」というお問い合わせがよくあります。
そこで、自動車整備士としての在留資格(ビザ)について記載します。
自動車整備業に関わる在留資格(ビザ)
現在の入管法では、自動車整備業に関係する在留資格(ビザ)としては、「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」があります。
この中で、正社員として日本人と同様に自動車整備士として雇用したい場合には、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を検討することになります。
在留資格「技能実習」や「特定技能」では、確かに自動車整備業に関わる業務を行うことができますが、行える業務が限られていて、いわゆる「単純労働」と評価される業務内容となります。また、日本に在留できる期間も限られています。
自動車整備士と「技術・人文知識・国際業務」
在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、学歴要件や実務要件などを満たすことで取得可能となるため、一見すると自動車整備士も同じように「自動車整備を専攻する大学や専門学校を卒業」している外国人の場合も取得可能なのではないかと思ってしまいます。しかし、自動車整備士の場合には、同じ「技術・人文知識・国際業務」でも、実務的な要件が変わってきます。
なぜかというと、自動車整備に関わる在留資格(ビザ)は、「技術・人文知識・国際業務」の他に「技能実習」や「特定技能」もあり、これらの「技能実習」や「特定技能」はいわゆる「単純労働」と評価される業務を行っているため、「技術・人文知識・国際業務」では「技能実習」や「特定技能」での業務内容とは異なる高度で専門的な業務内容であることが必要とされるためです。
そこで、実務的には以下のような要件を満たすことが必要とされているのではないかと思われます。
〇最低でも2級自動車整備士の資格を取得していること
〇「点検」「診断」などの高度で専門的な業務に従事すること
〇自動車整備主任者としての勤務が予定されていること
業務内容の立証
自動車整備士が従事する業務については、「点検」「診断」などの高度で専門的な業務に従事することが必要とされますが、その内容も立証する必要があります。
大手自動車整備工場や指定・認証を受けている自動車整備工場などは、業務内容を具体的かつ詳細に説明することで足りる場合が多いのですが、小さな自動車整備工場などの指定や認証を受けていない工場の場合には立証が難しくなります。指定や認証を受けていない結果、いわゆる「単純労働」に従事させるのではないかと疑われてしまうことがあるからです。
そのため、これらの自動車整備工場で雇用する場合には、これまでに行ってきた点検記録や整備記録などによって、高度で専門的な業務を行っていることを立証する必要があります。