日本の企業が外国人を雇用したい場合、その外国人は在留資格(いわゆる就労ビザ)が必要です。
就労ビザの一つである、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、学歴要件として以下のことが定められています。
【学歴要件】
当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
雇用しようとする外国人が、日本の大学を卒業している場合は分かりやすいのですが、外国の大学を卒業している場合に少し複雑になります。外国の教育制度は日本の教育制度と異なっているため、学歴要件を判断する場合には注意が必要です。
以下、中国の教育機関卒業者を雇用したい場合について解説します。
〇中国の教育制度
中国の教育については、就学前教育・初等教育・中等教育・高等教育となっています。
この中で、学歴要件として重要になってくるのは高等教育の部分です。
文部科学省によると、
「高等教育は、大学及び専科学校、職業技術学院で行われる。大学には本科(4~5年。学部レベル)と大学院レベル(博士課程2~3年。博士課程3~4年)がある。専科学校及び職業技術学院には、短期課程の専科(2~3年)がある。中等専門学校には短期高等教育の課程(2年)を提供するものもある。」
とされています。
(「文部科学省ホームページ」参照)
〇在留資格「技術・人文知識・国際業務」における学歴要件
審査要領においては、以下のように規定されています。
中国の教育機関卒業者の取扱い
大学院、大学(又は学院、うち本科・専科を含む。)、専科学校、短期職業大学を卒業した者及び学位を与えることができる成人教育機関を卒業して学位を取得した者は、「大学を卒業し又はこれと同等以上の教育を受け」た者に該当するものとして取り扱う。
上記の文言のみを見ると大学院、大学(又は学院、うち本科・専科を含む。)、専科学校、短期職業大学を卒業していれば、学歴要件を満たしているようにも考えられますが、実務運用としては「卒業+学位」が必要とされています。
これらのことから、中国の教育機関卒業者を雇用する場合には、学歴については「卒業証書」と「学位証書」を確認することが非常に重要なポイントになります。
大学等を卒業していたとしても「学位」がない場合には、要件を満たさない(不交付・不許可)となる可能性があるため注意が必要です。特に、専科の場合には要注意です。