永住者は、活動に制限がなく、在留期間の制限もありません。
在留資格の中で、最も安定した在留資格と言えるでしょう。
そのため、永住者の在留資格を得るためには、多くのハードルを越えなければいけません。
永住者の条件
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有する
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
さらに、
- 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること。
- 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
- 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これらの条件を満たすことで、初めて永住許可が可能となります。
そのため、例えば、10年以上日本に在留しているからといって、必ず永住許可が出るというわけではありません。では、越えるべきハードルとされる永住者の要件を書いていきます。
永住者の要件の一般基準
1.素行が善良であること
次のいずれにも該当しない者であること。
- 日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金(道路交通法による罰金を除く。以下同じ。)に処せられたことがある者。ただし、懲役又は禁錮については、その執行を終わり若しくはその執行の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予期間を経過したとき、また、罰金については、その執行を終わり又はその執行の免除を得た日から5年を経過し、又は刑の執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過したときは該当しないものとして扱う。
- 少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者。
- 日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者。例えば、道路交通法違反等軽微な法違反であっても繰り返し行う者はこれに該当する。
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることをいう。この独立生計維持能力は、必ずしも申請人自身に完備している必要はなく、その者が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を今後とも続けることができると認められるときに、これを完備しているものとして扱う。
3.永住が日本国の利益に合すること
長期間にわたり、我が国社会の構成員として居住していると認められること
- 引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、「留学」、「研修」又は「特定活動(技能実習)」の在留資格から就労資格又は居住資格への在留資格の変更許可を受けて在留する者については、この10年以上在留している期間のうち就労資格又は居住資格を持って引き続き5年以上在留していることを要する。
- 現に有している在留資格について、施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
上記の要件にかかわらず、特例も存在します。その中で、それに該当する場合が多い特例を紹介します。
永住者の要件の特例
- 日本人、「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者の配偶者、実子又は特別養子については、「永住者の要件1.2.」については不要。また、「永住者の要件3.」の在留期間に関しては下記のとおり。
- 配偶者については、実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること
- 実子又は特別養子については、引き続き1年以上日本に在留していること
- 日本人、「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者の養子(特別養子を除く。)については、「永住者の要件1.2.」については不要。
- 「定住者」の在留資格を有する者については、「永住者の要件3.」の在留期間に関して「定住者」の在留資格を付与された後、引き続き5年以上日本に在留していることで足りる。
これらの場合は、特例に該当することで「永住者の要件」が緩和される取り扱いとなります。