フィリピン人と国際結婚を行う場合の手続きについて解説します。
国際結婚を有効に成立させるためには、原則としてそれぞれの国での婚姻手続きが必要になります。
結婚を有効に成立させる国は2つあるため、どちらかの手続きを先に行わなければなりません。
先に提出する届出を創設的届出、後に提出する届出を報告的届出といいます。
手続きのパターンとしては、以下の2つが挙げられます。
Ⅰ日本で結婚する場合
Ⅱフィリピンで結婚する場合
【Ⅰ日本で結婚する場合】
①日本の役所へ婚姻届け
(日本人側の必要書類)
・婚姻届
・戸籍謄本
・本人確認資料
(フィリピン人側の必要書類)
・婚姻要件具備証明書(CNO)
・PSA発行の出生証明書
・パスポート
※外国文書の場合には日本語訳が必要です。
※必要書類については、提出先によって異なる可能性があるため事前にご確認ください。
②日本にあるフィリピン大使館・領事館へ婚姻届け
(日本人側の必要書類)
・婚姻届記載事項証明書
・戸籍謄本
・パスポート
・写真
(フィリピン人側の必要書類)
・パスポート
・写真
※外国文書の場合には日本語訳が必要です。
※婚姻前に大使館で婚姻要件具備証明書を申請していない場合には、フィリピン外務省認証済みPSA発行の出生証明書や独身証明書等が必要になる場合があります。
※必要書類については、提出先によって異なる可能性があるため事前にご確認ください。
以上により、日本及びフィリピンでの婚姻は有効に成立することになります。
フィリピン人の婚姻要件具備証明書
フィリピン人と日本で結婚する場合には、フィリピン人が婚姻要件具備証明書を準備する必要があ
ります。
在日フィリピン大使館で取得する場合には、「パスポート」「フィリピン外務省認証済みPSA発行
の出生証明書」「フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書」等が必要になります。
※必要書類については、状況によって異なる可能性があるため事前にご確認ください。
PSA・DFAについて
PSA(Philippine Statistics Authority)とは、フィリピン国民の出生・婚姻・死亡などを管理する政府の機関です。従前はNSOが行っていましたが、現在はPSAが行っています。
DFA(Department of Foreign Affairs)とは、フィリピンの外務省のことです。
フィリピン人との国際結婚の手続きでは、PSAやDFAという言葉をよく目にすることになるかと思いますが、フィリピン人が準備しなければならない公的書類は、「DFAの認証済みのPSA発行の書類」であることが多くなっています。
【Ⅱフィリピンで結婚する場合】
①在フィリピン日本国大使館で婚姻要件具備証明書の取得
(日本人側の必要書類)
・戸籍謄本
・パスポート など
(フィリピン人側の必要書類)
・PSA又は市役所発行の出生証明書 など
※必要書類については、状況によって異なる可能性があるため事前にご確認ください。
②婚姻許可証の取得
取得した婚姻要件具備証明書をもって、フィリピン人配偶者の居住地の役場に婚姻許可証の申請を行います。
※申請手続きについては、各役場によって異なる場合があるため、事前にご確認ください。
婚姻許可証は、婚姻許可証申請者の名前等を10日間継続して地方民事登録官事務所に公示した後、問題がなければ発行されることとなります。婚姻許可証は、発行後120日間フィリピン国内のどこの地域でも有効となります。
③挙式、婚姻証明書の取得
フィリピンにおいては、婚姻を挙行できる権限のある者(婚姻挙行担当官:牧師、裁判官など)が法律で定められており、この婚姻挙行担当官と成人2名以上の証人の前で婚姻の宣誓を行い、婚姻当事者と証人が婚姻証明書に署名し、これを婚姻挙行担当官が認証することにより婚姻が成立することとなっています。
婚姻後15日以内に婚姻証明書が婚姻挙行官より挙行地のフィリピン市町村役場に送付され、地方民事登記官により登録が行われます。登録が完了すると、市区町村役場にて婚姻証明書の謄本が取得可能となります。
④日本での婚姻届け
フィリピンで上記の手続きが完了した後は、在フィリピン日本国大使館又は日本の役所へ婚姻届けを行います。
以上により、日本及びフィリピンでの婚姻は有効に成立することになります。
日本人の婚姻要件具備証明書
フィリピン人とフィリピンで結婚する場合には、日本人が婚姻要件具備証明書を準備する必要があります。
この婚姻要件具備証明書は、日本にある法務局や在フィリピン日本国大使館で取得することが可能です。
(法務局で婚姻要件具備証明書を取得する場合の必要書類)
・本人確認資料
・戸籍謄本
※法務局で取得した婚姻要件具備証明書を中国で使用する場合には、外務省の公印確認・領事認証・翻訳が必要になります。
(在フィリピン日本国大使館で婚姻要件具備証明書を取得する場合の必要書類)
・パスポート
・戸籍謄本
・結婚相手の出生証明書
・結婚相手のパスポート など
※必要書類については、提出先によって異なる可能性があるため事前にご確認ください。
これらの手続きが完了して、それぞれの国で結婚が有効に成立した後は、フィリピン人配偶者の呼び寄せの手続き(結婚ビザ・配偶者ビザ)を行うこととなります。
在留資格「日本人の配偶者等」(結婚ビザ・配偶者ビザ)で注意すること
国際結婚をして外国人配偶者が日本で生活するためには、在留資格「日本人の配偶者等」(結婚ビザ・配偶者ビザ)を取得する必要があります。この手続は、在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請ですが、いずれも出入国管理局にて行わなければなりません。そこで審査を経て、問題がなければ許可となります。
ただし、場合によっては「偽装結婚」を疑われて審査が厳しくなり、不許可となってしまうケースがあるので注意が必要です。
審査が厳しくなるケース
・夫婦の年齢差が大きい
・夫または妻の離婚歴が多い
・出会い系サイトなどのインターネットで知り合った
・結婚相談所、結婚紹介所などで知り合った
・交際期間が短い
・会った回数が少なく、写真が少ない
・外国人パブや外国人キャバレーで知り合った
・申請内容に矛盾がある
・日本人配偶者(夫または妻)の収入が少ない