この「定住者」という在留資格は「定住ビザ」と言われることが多いのですが、簡単に許可が出ると考えている人が多い在留資格です。
定住者とは、法務大臣が個々の外国人について特別な理由を考慮して居住を認める在留資格のことです。
この特別な理由の指定として、「告示」で定住者の地位を定めています。
そして、定住者の中には、①告示定住者と②非告示定住者があります。
① は告示に該当する定住者で②は告示に該当しない定住者です。
- 日本人の子として出生した者の実子(日系3世など)
- 定住者の配偶者
非告示定住者の例
- 日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人が日本人と離婚後も日本に在留したい場合
- 日本人の実子を外国人親が日本で養育する場合
定住者とは以上のような在留資格ですが、「他に該当する在留資格がないから定住ビザで」と考えている人も多いと思います。ですが、実際は法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認める在留資格であり、そんなに簡単に許可が出るというものではありません。
当事務所では、告示定住者よりも非告示定住者に関するご相談が多く寄せられます。
具体的には、非告示定住者とはどのようなものかと言うと、多いパターンでは次のようなものがあります。
「日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人が日本人と離婚後も日本に在留したい場合」
この場合は、「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が必要になりますね。
これを判断する場合にあたって、許可が認められた事例と認められなかった事例を参考に見てみましょう。
- 日本在留期間約5年,婚姻期間約3年,子ども無し,離婚原因は家庭内暴力→許可
- 日本在留期間約4年,婚姻期間約3年,子ども無し,婚姻期間の半分ほどが別居状態→不許可
- 日本在留期間約5年,婚姻期間約3年,子ども有り,傷害罪等で有罪判決あり→不許可
- 日本在留期間約8年,婚姻期間約5年,子ども有り,離婚原因は家庭内暴力→許可
以上のように、許可・不許可となっています。
これには法律による明確な規定はありませんが、ある程度の基準は存在します。
法律による明確な規定はありませんが、次のようなことがポイントとなります。
- 日本在留期間が長い
- 婚姻期間が長い
- 実子が存在する
- 離婚の合理的理由の存在
- 経済的自立性がある
以上のようなことがポイントになることがありますが、婚姻期間に関しては約3年以上あることが必要なようです。また、上記のことを満たしているからと言って、必ずしも許可が出るということではなく、あくまでも個別具体的な判断をされるということに注意が必要です。