入管法第21条第3項には以下のような規定があります。
「・・・申請があった場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がある時に限り、これを許可することができる。」
入管法ではこのように規定されているため、外国人の方に在留期間を更新する権利が保障されているものではありません。
入管法にも規定されているように、法務大臣に一定の裁量が認められているということになります。
※「裁量」とは、自分の考えで問題を判断して処理をするという意味です。
では、どのように判断し、処理されるのでしょうか。
在留期間更新の許否を判断するに当たっては、国内の治安維持や保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持を考慮し、国内外の情勢も踏まえた上での判断を行うということになっています。
ここで気になるのは、「法務大臣の裁量についてどのようなものでも認められるのか」ということです。
これについては、昭和53年10月4日最高裁判決(マクリーン事件)で以下のように判断されています。
「・・・裁判所は、法務大臣の右判断についてそれが違法となるかどうかを審理、判断するにあたっては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全くの事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念上に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法であるとすることができる・・・」
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、簡単に言うと、「重要な事実誤認等により判断が全くの事実の基礎を欠く」場合に、裁量権を逸脱している状態となるということです。