社会保険労務士コラム

外国人向け就業規則の作り方|補足規程・翻訳版の実務上のポイント

  • 2026.5.29

外国人向け就業規則の作り方|補足規程・翻訳版・実務上のポイント


■ 外国人向け就業規則は必要なのか?(結論:義務ではないが実務上は強く推奨される)

外国人向けの就業規則(翻訳版・補足規程)を作成する法的義務はありません。
労働基準法は、日本語で作成された就業規則で問題なく、外国語版の作成義務もありません。

しかし実務では、外国人社員に労働条件が正しく伝わらず、次のようなトラブルが頻発します。

  • 残業のルールを誤解している
  • 有給休暇の仕組みを理解していない
  • 注意・指導を「ハラスメント」と受け取る
  • 給与控除の内容を理解していない
  • 在留資格との整合性が取れない
労働基準法・入管法では「理解できる言語で説明したか」が重視されるため、翻訳版や補足規程が実務上は強く推奨されます。

■ 外国人向け就業規則を作る目的(誤解防止 × コンプライアンス)

① 労務トラブルの予防

文化・言語の違いにより、同じ説明でも受け取り方が大きく異なります。

特に誤解が多いのは以下の項目です。

  • 労働時間・休憩・残業
  • 有給休暇
  • 注意・指導
  • 遅刻・欠勤
  • ハラスメント
  • 給与控除

② 入管が確認するのは「書類と実態の整合性」

技人国・特定技能では、職務内容や労働条件は雇用契約書・労働条件通知書で管理されます。
入管は一般的には就業規則そのものを詳細に確認するわけではありません。

しかし、就業規則の運用(労働時間・雇用形態・勤務実態)が曖昧だと、
社内運用が統一されず、雇用契約書の内容と実際の業務にズレが生じやすくなります。

近年、入管は「社会保険の加入状況」を適正な雇用関係の判断材料として以前より細かく確認するようになっており、
以下の3点に不整合がある場合、更新時に追加説明を求められるケースが増えています。

  • 雇用契約書の内容
  • 勤務実態
  • 社会保険の加入状況

■ 外国人向け就業規則の3つの形態(どれを作るべきか)

① 翻訳版(外国語版)

本体の就業規則をそのまま翻訳したもの。ただし、翻訳だけでは理解しづらいことが多い。

② やさしい日本語版

厚労省が推奨する形式。専門用語を避け、短い文で説明する。

③ 補足規程(最も実務的で効果が高い)

本体の就業規則に対して、図解・例示・注意点・よくある誤解を追加したもの。
→ 結論:在籍する外国人の日本語レベルに応じた形態が望ましい。


■ 厚労省の公式ツールをどう使うか

厚生労働省は外国人雇用向けに、やさしい日本語版モデル就業規則、多言語用語集、説明例文集などを公開しています。

これらはそのまま「補足規程」に組み込める内容で、企業がゼロから作るよりも効率的です。

  • やさしい日本語版モデル就業規則
  • 多言語用語集(420語)
  • 外国人向け説明例文集

■ 外国人向け就業規則に入れたほうがいい項目

外国人向け就業規則では、特に以下の項目を重点的に補足する必要があります。

  • 労働時間・休憩・残業の仕組み
  • 有給休暇の取得ルール
  • 遅刻・欠勤・早退の扱い
  • 注意・指導の流れ
  • ハラスメントの定義
  • 配置転換・職務内容の変更(※就業規則ではなく運用ルールとして)
  • 給与控除の内容
  • 在留資格との関係
誤解が多い部分を重点的に補足することで、トラブルの大半は防げます。

■ 作成ステップ

① 本体の就業規則を確認する

外国人専用の労働条件はNG。内容は日本人と同じでなければならない。

② 誤解が多い項目を洗い出す

現場・人事・外国人社員の声を集める。

③ 補足規程を作る

図解・例示・注意点を追加する。

④ 翻訳版を作る

機械翻訳の場合には、適切な理解の確認が必要。専門家による翻訳が望ましい。

⑤ 現場説明スクリプトを作る

「言い方」を統一することで誤解を防ぐ。

⑥ 外国人向け研修を実施する

現場が理解していないと制度が機能しない。

⑦ 外部相談窓口を設置する

第三者(社労士・行政書士)が入ると早期解決につながります。
外国人社員が安心して相談できる

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行政書士+社会保険労務士の併設事務所として、
在留 × 労務 × 現場 を一体でサポートします。


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