外国人を雇用するときの社会保険|正社員・アルバイト・パートの加入要件を解説

外国人を雇用する企業が必ず押さえておくべき社会保険のポイントを、在留資格ごとの違いと実務の注意点を踏まえて整理しました。

外国人雇用の社会保険は、労働時間・在留資格・企業規模が複雑に絡むため、判断を誤ると
未加入指導・資格外活動違反・更新不許可につながることがあります。
不安がある企業様は、専門家によるサポートをご利用ください。

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この記事で分かること

外国人雇用が増える中で、企業が最もつまずきやすいのが「社会保険の加入判断」です。特に、留学生・家族滞在のアルバイトや、特定技能・技人国のフルタイム雇用など、在留資格ごとに働ける時間が異なるため、判断を誤る企業が非常に多い領域です。

社会保険の加入判断は「在留資格」ではなく、あくまで労働実態で決まります。
ただし、在留資格が「働ける時間の上限」を決めるため、結果として加入可否に影響するという構造を理解することが重要です。


1. 外国人雇用でも社会保険は必須|基本の理解

外国人であっても、日本国内で雇用される場合は日本人と同じ基準で社会保険の加入義務が発生します。

■ 対象となる社会保険制度

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険(全員対象)

2. 健康保険・厚生年金の加入基準

■ 原則:週30時間以上勤務

正社員と同様に加入義務があります。

■ 週20時間以上でも加入となるケース(短時間労働者の適用拡大)

以下すべてを満たす場合、アルバイト・パートでも加入対象になります。

  • 週20時間以上
  • 月額賃金 8.8万円以上
  • 2か月超の雇用見込み
  • 学生でない
  • 特定適用事業所(従業員51人以上)

2027〜2035年にかけて、特定適用事業所は全企業へ段階的に拡大します。


3. 社会保険の適用拡大スケジュール

従業員数 適用開始
36〜50人 2027年10月
21〜35人 2029年10月
11〜20人 2032年10月
10人以下 2035年10月

2035年には、すべての企業で週20時間以上の外国人アルバイトも社会保険加入対象になります。


4. 雇用保険の加入基準(外国人アルバイトも対象)

厚労省Q&Aでは、以下の2つを満たす労働者は国籍に関係なく加入義務があると明記されています。

  • 週20時間以上の所定労働時間
  • 31日以上の雇用見込み

外国人の場合、資格取得届には以下の記載が必須です。

  • 在留資格
  • 在留期間
  • 在留カード番号

5. 在留資格ごとの「働ける時間」と社会保険の関係

社会保険の加入判断は労働実態で行われますが、在留資格が「働ける時間の上限」を決めるため、結果として加入可否にも影響します。

在留資格 労働時間の上限 健保・厚年(週30h) 健保・厚年(短時間:特定適用事業所) 雇用保険(週20h) 補足
留学(資格外活動) 週28時間まで × ×(学生のため対象外) 長期休暇中は週40h可
家族滞在(資格外活動) 週28時間まで × △(学生でない場合には対象) 家族滞在でも学生のケースあり
特定技能 労働基準法に基づく 日本人と同じ扱い
技人国(技術・人文知識・国際業務) 労働基準法に基づく 日本人と同じ扱い
永住者・定住者・日本人配偶者等 労働基準法に基づく 日本人と同じ扱い

6. 来日直後の社会保険手続き(補足)

外国人は住民登録を行うことで、基礎年金番号・マイナンバーが通知されます。
通知前に資格取得届を提出する場合は、在留カード等で本人確認を行い、番号は通知後に追加入力するという流れとなります。


7. よくある誤解とトラブル(入管審査・社会保険・労働時間の観点から)

外国人雇用では、社会保険と在留資格の関係を誤解している企業が非常に多く、結果として「更新不許可」「資格外活動違反」「未加入による指導」などのトラブルが発生しています。実務で特に多い誤解を整理します。

① 「アルバイトだから社会保険は関係ない」→ ×

週20時間以上の外国人アルバイトは雇用保険加入が必須です。
さらに、特定適用事業所では週20時間以上・月8.8万円以上・学生でない場合、健康保険・厚生年金の加入が必要になります。

② 「家族滞在は学生じゃないから全部加入」→ ×

家族滞在でも専門学校・大学に通うケースがあり、学生の場合は短時間労働者の適用拡大の対象外です。
加入要否で「学生かどうか」も加味する必要があります。

③ 「留学生は雇用保険も入らなくていい」→ ×

留学生でも週20時間以上働く場合は雇用保険加入が必要です。
資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)であれば加入に問題はありません。

④ 「特定技能はアルバイト扱い」→ ×

特定技能は就労資格であり、日本人と同じ扱いです。
社会保険加入は必須です。

⑤ 社会保険未加入は在留資格に影響しない → ×

近年、入管は「社会保険の加入状況」を厳しく確認しています。
特に以下のケースは更新不許可・追加資料要求の対象になりやすいです。

  • フルタイム勤務なのに健康保険・厚生年金に未加入
  • 雇用保険の加入要件を満たしているのに未加入
  • 給与額と社会保険料の整合性が取れない
  • 雇用契約書と出勤簿の労働時間が異なる

入管は「適正な雇用関係(実態)があるか」を判断するため、
社会保険の加入状況を判断基準の一つとして扱っています。

⑥ 個人事業主が外国人を雇う場合は雇用保険に加入しなくていい → ×

個人事業主が外国人を雇う場合、以下の誤解が非常に多いです。

  • 健康保険・厚生年金は加入義務がない場合がある
    (雇用主が個人事業主の場合は「国民健康保険+国民年金」が基本のため)
  • しかし、労災保険と雇用保険には加入義務がある
  • 外国人を雇って雇用保険に加入していないと、入管審査で「適正な雇用関係がない」「公的義務を履行していない」と判断されることがある

労災保険は、労働者を1人でも雇う以上、必ず加入すべき保険です。
一方、雇用保険は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあるなど、一定の要件を満たす労働者を雇う場合に加入が義務付けられる保険です。

そのため、個人事業主であっても労働者を雇用している場合には、労災保険は必ず加入が必要であり、
雇用保険についても、対象となる外国人労働者を雇う場合には加入が必須となります。

特に外国人の場合、雇用保険未加入は入管審査で
「適正な雇用関係がない」「公的義務を履行していない」
と判断されるリスクが高く、更新不許可につながるケースがあります。

⑦ 「週28時間以内なら何をしてもOK」→ ×

留学・家族滞在の資格外活動許可は「週28時間以内」が原則ですが、実務ではこのルールを大きく誤解しているケースが非常に多いです。以下のような誤解は、資格外活動違反や更新不許可につながるため注意が必要です。

  • 「複数の職場を合計して28時間以内であれば問題ない」
    誤解 複数勤務の場合も“合計”で28時間以内。超過すると資格外活動違反。
    入管は賃金台帳・給与明細などから実態を把握し、在留期間更新が不許可となることがあります。
  • 「どんな業種でも問題ない」
    誤解 法令違反や風俗営業などは禁止。
  • 「週28時間以内のアルバイトなら社会保険加入が必要ない」
    誤解 週28時間以内でも、特定適用事業所では社会保険加入が必要なケースがある。
    家族滞在で“学生でない場合”は、週20時間以上・月8.8万円以上・2か月超の雇用見込みがあれば、健康保険・厚生年金の加入対象になります。

つまり、「週28時間以内=安全」ではなく、業種・勤務時間帯・社会保険の要件を総合的に満たしているかが重要です。

⑧ 「社会保険未加入でも入管は関係ない」→ ×

入管は以下を確認します。

  • 労働時間と社会保険加入状況の整合性
  • 給与台帳・源泉徴収票・社会保険料の控除状況
  • 雇用保険の加入状況

社会保険未加入は「書類と実態の不整合」と判断され、更新不許可の原因になります。


【注意】社会保険の未加入・誤った加入判断は入管審査にも影響します。
外国人雇用の社会保険は、労働時間・在留資格・企業規模が複雑に絡むため、企業側の判断ミスがトラブルの原因になることが多い領域です。
不安がある企業様は、早めに専門家へご相談ください。

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8. まとめ

外国人の社会保険加入は、

  • 労働実態(週の所定労働時間・賃金・雇用期間)
  • 企業規模(特定適用事業所)
  • 在留資格による労働時間の上限

の3つを踏まえて判断します。

2035年には、すべての企業で週20時間以上の外国人アルバイトも社会保険加入対象になります。