社会保険労務士コラム

(第2回)外国人社員が会社に相談しない本当の理由

  • 2026.3.31

第2回:外国人社員が会社に相談しない本当の理由

「直接言いづらい」構造的な背景を解説。

「何かあったら相談してね」と伝えているのに、
実際には何も相談が上がってこない。
そして、気づいたときには「退職したいです」という話になっている──。

第2回では、外国人社員が会社に相談しない理由を、
個人の性格ではなく
“構造”として整理していきます。

■ 「相談していいのか分からない」という空気

次のような場面に、心当たりはありませんか。

  • 「忙しそうで…こんなこと聞いていいのか迷いました」と後から言われる
  • トラブル後に「実は前から気になっていました」と打ち明けられる
  • 日本人社員には相談があるのに、外国人社員からは何も出てこない
  • 「困っていることはない?」と聞くと、いつも「大丈夫です」で終わる

これは、
「相談したくない」のではなく、「相談していいのか分からない」
状態になっているサインです。

■ 理由1:評価や在留資格に影響しそうで怖い

外国人社員にとって会社は「仕事の場」であると同時に、
日本に住み続けられるかどうかに直結する存在です。

そのため、次のような不安が生まれます。

  • 不満を言うと「問題のある人」と思われるのでは
  • 評価が下がり、契約更新に響くのでは
  • 在留資格の更新に悪影響が出るのでは

こうした不安があると、
「多少のことなら我慢しよう」
という選択をしがちです。

■ 理由2:日本語で“微妙なニュアンス”を説明できない

日常会話は問題なくても、
「モヤモヤ」や「違和感」を日本語で説明するのは難易度が高いものです。

  • どこから話せばいいか分からない
  • 言葉を選んでいるうちに「やっぱりいいです」と引っ込めてしまう
  • うまく伝えられず「自分の日本語のせいだ」と感じてしまう

その結果、
「相談しても誤解されるくらいなら黙っていた方がいい」
という判断になりがちです。

■ 理由3:誰に・どこまで話していいのか分からない

相談窓口が形式上あっても、次のような不安が残ります。

  • 上司に直接言うと、人間関係が悪くなりそう
  • 人事に話すと、すぐに上司に伝わるのでは
  • 個人的な事情まで会社に知られたくない

つまり、
「相談したいことはあるが、会社の中では話しづらい」
という状態です。

■ 個人の性格ではなく“構造”の問題

ここまでの理由は、どれも
「その人が内向的だから」ではありません。

評価・在留資格・言語・人間関係といった要因が重なり、
「相談しない方が安全だ」と感じてしまう構造
が生まれています。

■ 外部の専門家としての“外国人相談窓口”が機能する理由

当事務所では、在留・労務・業務内容に関する相談を一次で受け止め、

事実整理と方向性の提示に特化した、外部の専門家としての“外国人相談窓口”

を提供しています。

この仕組みが機能する理由は次の通りです。

  • 会社の外なので、本音を出しやすい
  • 在留・労務・業務が絡む相談もまとめて受け止められる
  • 企業に共有するのは、対応に必要な事実情報のみ
  • 判断はせず、「どこから・どう動くか」の道筋を整理して渡す

これにより企業側は、
整理された情報と、動き方の方向性
を受け取ることができ、
現場の負担を増やさずに
離職の芽を早期に拾う
ことが可能になります。

■ 次回予告

第3回では、
「現場に相談が集中すると何が起きるのか」
をテーマに、管理職・人事の負担と対応のブレについて整理します。


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