就労ビザは労働保険未加入でも問題ない?
入管審査での影響、企業の法令順守とリスク管理を整理する
✅ 結論:労働保険未加入は原則「問題あり」
労働保険(労災保険・雇用保険)は、外国人労働者にも適用される法定保険です。
未加入のまま雇用すると、技術・人文知識・国際業務ビザ(就労ビザ)に関する入管審査で勤務実態に疑義が生じる可能性があるほか、企業側の法令違反リスクも高まります。
⚖️ 入管審査での影響
- 技術・人文知識・国際業務ビザ(就労ビザ)に関する入管審査では、外国人本人の雇用契約・勤務実態・報酬水準が審査対象となります。
雇用保険未加入の場合、週20時間以上の勤務であるにもかかわらず未加入であれば、勤務実態に疑義が生じる可能性があります。 - 労災保険は原則としてすべての労働者に適用されるため、業務中の事故に備えた制度加入がない場合、雇用の適正性が問われることがあります。
- 入管が直接「労働保険加入状況」を審査するわけではありませんが、勤務時間・報酬・雇用形態との整合性が崩れると、追加資料の提出や審査遅延につながる可能性があります。
⚖️ 企業の法令順守とリスク管理
- 労災保険は、原則としてすべての労働者に対して強制適用。外国人であっても、雇用形態にかかわらず加入義務があります。
ただし、事業主本人・業務委託契約者・労働者性のない家族従業員などは適用除外となる場合があります。 - 雇用保険は、週20時間以上勤務かつ31日以上の雇用見込みがある場合に強制適用。外国人も対象です。
- 未加入のまま雇用すると、労働局・労基署からの是正指導や過去分の遡及加入・保険料徴収の対象となる可能性があります。
- 雇用保険未加入の場合、失業時の給付・育児休業給付・教育訓練給付などが受けられず、外国人本人の生活保障にも影響します。
- 労災保険未加入で事故が発生した場合、企業が損害賠償責任を負う可能性があるため、リスク管理上も重大な問題です。
✅ 実務対応のポイント
| 観点 | 対応策 |
|---|---|
| 労災保険 | 雇用形態・勤務時間にかかわらず、原則すべての労働者を対象に加入手続き。除外対象は契約形態を確認。 |
| 雇用保険 | 週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある場合は速やかに加入 |
| 入管審査 | 雇用契約書に勤務時間・雇用期間・保険加入状況を明記し、整合性を確保 |
| 未加入の過去 | 過去分の加入手続きと保険料納付を完了し、必要に応じて説明資料を添付 |
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まとめ
労働保険未加入は、入管審査・企業リスク・従業員保護のすべてにおいて不利要素です。
外国人本人の希望に関係なく、企業側が加入義務を果たすことが、適正な外国人雇用の第一歩となります。
